江澤紳二郎氏 監査役インタビュー

社内と良好な関係を築き1チームで責務を全うする

株式会社リグア
常勤監査役 江澤紳二郎 氏

常勤監査役 江澤紳二郎 氏

社内と良好な関係を築き1チームで責務を全うする

株式会社リグア
常勤監査役 江澤紳二郎

常勤監査役 江澤紳二郎 氏
株式会社リグア
常勤監査役 江澤紳二郎 氏
キャリアサマリー
昭和54年4月 住友海上火災保険(株)(現:三井住友海上火災保険(株))入社
平成23年4月 三井住友海上火災保険(株) 理事大阪北支店長
平成26年4月 三井住友海上エイジェンシー・サービス(株) 常務取締役
平成27年4月 MS&ADスタッフサービス(株)代表取締役
平成30年6月 (株)リグア 常勤監査役(現任)
       (株)FPデザイン 監査役(現任)

監査役に就任したきっかけ

当社が上場準備の時期に前常勤監査役が退任することになり、アドバイザリー契約を結んでいたコンサルタントに後任の紹介を相談しました。そのコンサルタントが世話上手な方で前勤務先の同僚であった私に声をかけてくれました。
私は当社の目指す「健康と金融のコンサルティング」の構想に共感し、上場審査の業務に大変興味を持ちましたので引き受けました。

監査役としての経験

2018年6月に就任して4年近くなります。初めての監査役で上場審査対応を含め業務への不安もありましたが、経験と実績が豊かな2名の社外取締役、当社創業時からのメンバー、上場経験がある2名の非常勤監査役など仕事仲間に恵まれ、証券会社のアドバイスも受けながら上場審査対応業務に取り組み、何とか職責を果たしてきました。
今では上場審査対応経験を含め監査役としての活動状況について、監査役協会の実務部会、関西ベンチャー監査役の会などで発表もしています。

今までのキャリアパスと監査役業務との関係性

1979年損害保険会社に入社後、35年間一貫して営業に従事、その後保険代理店の経営指導を行なう子会社の常務、ホールディングスの関連事業である人材派遣会社の社長を経験しました。退職後は再雇用制度によりコンプライアンス部にて企業代理店の業務監査を行なう監査職に就き、そこから縁があって当社監査役に就任しました。損害保険の営業は代理店の指導・育成・督励、新設はじめ販売網の拡充、整備などが業務で、企業営業では企業の保険担当窓口との直接折衝に携わりました。

私はリテール、コマーシャル、モーターチャネルなど全ての営業分野を経験しましたが、高知の支店長を2年間務めた以外は大阪・東京・名古屋に勤務し、会社人生の6割は出身地である大阪マーケットに携わっていました。バブル期には東京で大手銀行の代理店と連携して企業開拓を行なう特命を担当したことがあり、成長企業の上場支援提案をすることもあり、この頃からIPOへの関心はありました。ご存知の通り、保険会社は古くは大蔵省・財務局・損害保険協会の検査、現在は金融庁検査などによりある意味守られてはいますが、厳しいレギュレーションのもとで経営しています。当然社内の内部監査も厳しく、コンプライアンスに関しての意識・対応はレベルが高いです。

また昨今、企業分野ではリスクマネジメントの取組みなしには業務は成立せずコンプライアンスやリスクマネジメントの知識が必須でした。監査役就任後、これらの知見や経験が監査役業務に極めて役立つことを知り、損害保険会社経験者はIPOを目指す企業の監査役に適任であると感じました。
また、子会社・グループ会社の取締役、代表取締役の経験も取締役の業務執行の適法性・妥当性の監査、内部統制システム構築などの監査に活かされています。さらに当社はグループで金融事業を行なっていますので、監査役就任の際には企業代理店業務監査の監査職の経験も評価されたと思います。

初めて監査役に就任した時に取り組んだこと

監査役の役割、実務については全くの素人でしたので、監査役協会の実務部会、新任監査役情報交換会、各種研修・セミナーで学ぶことから始めました。実務部会では先輩監査役の方の経験や率直な意見を拝聴することができ、果たすべき役割について理解が深まりました。
新任監査役情報交換会では講師役の先輩監査役が使用しているツール等をオープンにしていただき、監査の実務を学ぶことができました。研修のなかでは新任監査役向けの講座、特に会計講座が大変勉強になりました。
また、IPO取組み開始に伴い証券会社からの指導にも助けられました。監査役監査における株主目線の必要性などについて厳しくご教示いただきました。社内では監査役の知見がある2名の社外取締役、公認会計士の非常勤監査役、取締役経験者で税理士である非常勤監査役にご指導いただき、前任の常勤監査役の視点を理解しながら監査役規程(監査基準)や監査計画、監査調書の見直しを実施しました。また、私の希望で監査役の部屋から出て内部監査室長と机を並べ執務をはじめ、監査法人のパートナーとフランクに話せるように努めました。

監査のうえで心掛けていること

監査役監査基準2条1項に「株主の負託を受けた独立の機関として取締役の職務の執行を監査することにより、企業の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質な企業統治体制を確立する義務を負っている」と記載されています。この根本を常に意識して業務を行うように心掛けています。

どんな監査役を目指したいか

「責任のとれる監査役」「決して逃げない監査役」になりたいと思っています。「会社の健全な発展を目指す」という方向性は社長や取締役と同じですので、監査役の存在意義を明確にし、取締役と良好な関係を保ち信頼されることで、社会・株主などあらゆるステークホルダーに貢献できる監査役を目指したいです。
常勤監査役として、社内のあらゆる情報が自然と入ってくる徳のある存在になり、リスクマネジメント・コンプライアンスの知識を駆使するとともに、各非常勤監査役の強みを活かし、“監査役会という1チーム”で効果的な監査を実施していきたいと思います。

監査役という仕事に初めて就かれた方へのアドバイス

監査役協会への積極的な参加は必須です。IPOを目指す会社の監査役に就任された方は、マルコ・ポーロ合同会社が主催するベンチャー監査役の会にも参加して、IPO経験者やIPO取組み中の他社監査役と交流することをお勧めします。就任企業の事業内容、事業リスクや経営課題、組織実態等を早めに把握することが重要ですが、そのために内部監査部門や監査法人との良好な関係を築いていくことが大切です。社外かつ常勤の場合、ある意味孤独な立場ではありますが、内部監査部門、監査法人と良好な関係を構築できるよう意識して対応していくのが良いと思います。

最後に

大阪出身かつ関西勤務が長い私は関西地方のさらなる発展を願っておりますので、関西のベンチャー企業が成長するためのお役に立ちたいと考えています。私の就任のきっかけとなった世話上手なコンサルタントの方と協力して、損害保険会社の出身者をIPOに取組む会社に監査役として紹介しています。今までに3人が監査役に就任しました。これからも関西のベンチャー企業がIPOで成長していくために監査役の方が大いに貢献されることを祈念しております。

以上