上場を目指す会社の監査役として
株式会社 YOLO JAPAN
常勤監査役 中島 一憲 氏
上場を目指す会社の監査役として
株式会社 YOLO JAPAN
常勤監査役 中島 一憲 氏
株式会社 YOLO JAPAN 常勤監査役 中島 一憲 大阪市出身 大阪府吹田市在住 |
キャリアサマリー |
1982年 大手監査法人入所 1986年 公認会計士登録 2012年 東証1部上場の総合商社入社 2019年 (株)YOLO JAPAN監査役就任(現在に至る) |
監査役就任まで
監査法人時代
監査法人には丸29年間勤務しました。
そのうち最初の8年間は東京で勤務していました。
自身はバリバリの大阪人で、それまで東京には殆ど行ったことがなかったんですが、会計士試験に合格した時に「大きな会社が見れるよ」という誘いに乗って、あまり深く考えずに合格発表の1週間後には東京の住人になっていました。
その東京時代に上司、先輩に恵まれ(?)、通常の監査業務以外にコンサル業務、上場支援業務をかなりの比率で従事させていただきました。
そのキャリアを見込まれたのかどうかわかりませんが、大阪の事務所に移ってからも結構大きな上場準備の業務を担当させていただきました。
東京ではおおむね補助者的な立場でしたが、大阪ではチームを任せられる立場で業務に従事させていただいたので、証券会社や財務局との対応も数多く経験させていただきました。
監査法人での勤務がもうすぐ30年になるという頃から、一度会社の中で上場にかかわってみたいという思いが大きくなっていきました。
30年を目前にして、監査法人を退職しました。
一般企業時代
監査法人を退職後、上場準備にかかわりたいという思いとは違って、縁あって東証1部(現在はプライムですが)上場の商社に呼んでいただき、財務経理部の長として7年間従事することになりました。
それまでは会社を外から見ていたのが、今度は中から見ることになりました。
ここでは監査法人時代はいかにうわべしか見れていなかったかということを思い知らされ、監査法人時代とは大きく違う視点から会社というものを見ることを学びました。
結果として、ここでの経験は大きな財産になっています。
そして監査役就任
前職でも会社の中から上場にかかわってみたいという思いはずっとくすぶっていたのですが、その思いが再度湧き出てきました。ちょうど収益認識基準への対応や移転価格税制の文書化などのスポット業務が一区切りついたこともあり、退職を決意して、上場準備にかかわれる会社を探すことにしました。
いくつかの候補となった会社から、その事業内容が大変面白いと感じていた現職の会社に監査役として呼んでいただけることになり、就任させていただきました。
監査役就任後
監査役就任時、上場会社となるための体制は殆ど整備されていない状況でした。
そこでまず監査の前に、監査を行う上で必要な体制、資料であるもの、ないもの、あるけど不備なものを明確にすることと、上場目標の時期までの大きなスケジュールを作ることを管理部と進めました。
ただ、スケジュールについてはコロナ禍で商売が止まってしまったため、大幅に予定が狂ってしまいましたが、最近になってようやく目途がついてきたので修正版を作成しなおしたところです。
現職の会社は現時点では会社法上の大会社に該当しないため、上場前と上場後とでは監査役の業務は大きく違うことになります。
現在は会計監査に重点を置いておりますが、上場後の業務監査やKAMを中心とした監査法人対応、さらには内部監査との連携などを意識して準備作業も進めています。
目指す監査役象
会社の中で上場にかかわってみたいという思いはありましたが、「監査役」を目指していたわけではないので、当初ははっきりとした監査役象があったわけではありません。
もともと監査役は取締役の指示命令から独立して、会社の本来の持ち主である株主の立場になって、会社が健全に経営され、株主の不利益なことが行われていないかを管理監督するという役割を担うものですので、公認会計士の世界でよく言われる「職業的懐疑心」をもって不正等の可能性を示す状態に常に注意し、証拠を鵜呑みにせず、批判的に評価する姿勢を持つ必要があると理解していました。
ただ、監査役に就任して思うのは、「会社の健全な発展を目指す」という方向性は取締役と同じはずですので、監査役は決して取締役とは敵対するものではないということです。
ですので今は取締役と良好な関係を保ち信頼される存在となることで、結果として社会・株主などあらゆるステークホルダーに貢献する監査役を目指したいと考えています。
もう一つ、目指しているというとおこがましいのですが、ベンチャー企業監査役勉強会を通じて、監査役の地位向上と報酬の底上げに何らかの貢献ができる監査役になりたい、と最近思うようになってきています。