占部裕二氏 監査役インタビュー

経営理念の実現、環境作りに役立ちたい

株式会社ブロードエンタープライズ
常勤監査役 占部裕二氏

株式会社ブロードエンタープライズ 常勤監査役 占部裕二 氏

経営理念の実現、環境作りに役立ちたい

株式会社ブロードエンタープライズ
常勤監査役 占部裕二 氏

株式会社ブロードエンタープライズ 常勤監査役 占部裕二 氏
経営理念
「私たちは、お客様の笑顔をトコトン追求します」
「私たちは、社員の笑顔をトコトン追求します」
「私たちは、優しさと思いやりを持ち、地域・社会に貢献します」

の実現、環境作りに役立ちたい
株式会社ブロードエンタープライズ
常勤監査役 占部裕二
大阪府出身・箕面市在住
キャリアサマリー
1975年 池田銀行(現 池田泉州銀行)入社
1986年 株式会社ジェーアイ(現 池田泉州JCBカード) 営業部長
1999年 株式会社ブイアイ (現 池田泉州VISAカード) 取締役就任
2011年 当社 入社
2014年 当社 (定年)退職
2018年 当社 常勤監査役 就任(現任)
2021年 当社 東証マザース(現 グロース)上場(12月)

今までのキャリアパスと監査役業務との関係性

2018年に当社監査役に就任いたしました。それまで監査役の経験はありませんでしたが、銀行員時代、特に銀行の子会社在籍時に経験したことが監査役を務める上で役に立っていると思います。
銀行には「検査部」という部署があり、支店や各部署に対して「各種の規定・マニュアル・フローに基づき適正に業務が行われているか」をチェックする厳正な立入検査を最低年1回抜き打ちで実施していました。当時、私はこの検査で発出する様々な質問や不備・不適切事項に対しての回答や改善策を提出する担当でした。この業務はまさに監査に相通じるものであり、公的機関の検査・監査等への対応も含めた経験が、現在の監査業務、特に実査実施時や内部監査と連携を行う上で少しは役に立っているかと感じています。
とは言え初めての職務でしたので、入門書籍や日本監査役協会の各種資料をひも解くことから始めて、ほぼ手探りの状態でした。この職責を本当に果たせるのかと前途不安な時期もありましたが、幸いにも社長からこの「ベンチャー監査役の会」の紹介がありました。本会では、多くの先輩監査役から生の体験談を拝聴できました。監査業務はもちろんのこと上場審査において、いわゆる「壁」の向こうに何があるかを事前に知り得たことがその後大きな助けになりました。

本会へお礼申し上げるとともに、これから上場を目指される方々に是非お伝えしたいことです。

監査役就任の経緯

私は長年の銀行勤務後に縁あって当社に入社しました。約3年の短い在職期間ではありましたが、新たなビジネス・チャレンジができる環境と機会を与えていただきました。その結果はとても胸を張れるような物ではありませんでしたが、公私ともに大きな恩恵を頂戴し、大変充足した期間を過ごすことができました。退職後はリタイア生活をしていましたが、4年後のある日突然に監査役として復職の打診をいただきました。

思いがけずのお話で会社を来訪した際には、前勤務時の感謝をお返したいと思うとともに、3年後に上場を目指したいと言う社長や旧知社員の熱い思いに触れ、気持ちが昂り、1日でも早く仕事に就きたいと思いました。とは言え、4年間のブランクと未経験の監査役ということに逡巡もしながら、最後には少しでもお役に立てればという思いで就任しました。

監査役として取り組んだこと

就任時、当社の業績・成長性は上場へ向けての手応え十分なものでした。それに対して、いわゆる監査については、内部監査も含め規定等基盤は一応整ってはいましたが、実際の監査についてはほぼ手つかずの状況でした。しかしほぼゼロからのスタートだったからこそスムーズに監査体制を構築できたと思います。
例えば支社監査(実査)は初めての実施でしたが、取締役・社員面談のスタイル等や監査チェックリスト作成等は日本監査役協会のひな型を参照にしつつ、当社の実務や業務内容に沿った内容を白紙から自在に作成することができ、過去の前例にとらわれずに新たに監査を実施できました。言うまでもなく、調書等作成すべき文書は「日本監査役協会」のガイドラインに沿った最新のものを基に作成できたことにより、その後の上場審査を支障なく進められたのだと思います。

上場審査を振り返って

社内の各部署の担当個々の頑張りだけでは上場審査を乗り切れなかったと思います。やはり、全社一丸のチーム力を発揮してこそ上場を突破できたと考えています。営業チームは業績目標必達(これは大前提)、本社各部署・管理部そして内部監査・監査役で組成した審査対応チームが全情報を共有し、各員が審査過程の状況をリアルタイムで把握しました。
また、大量質問等への回答や資料提出等各種対応への役割分担を明確にした上で、各担当が効率良く仕事を進め、その結果は誰もが確認できる仕組みにしたことが成功の鍵であったと思います。社内に可視化システムを容易に構築でき、データの共有・変更修正履歴・保存・作業状況把握等に力を発揮しました。

監査の上で心掛けていること

一にも二にも情報収集だと考えています。重要会議への出席は当然ですが、現在、全取締役の会議等スケジュール、経理・財務・総務・営業・人事・労務等々全ての稟議事項、各種会議議事録、そしてクレーム対応、社内通知連絡事項、行事企画等、社内で行き交う全情報は、監査役がパソコン上でリアルタイムに閲覧し情報収集できます。
加えて、全支社・部署の実査時には必ず複数名社員との面談に重点を置き、取締役・支社長や部署長に加え、若手社員からの生の声を聴くこと心掛けております。

どのような監査役を目指すか

当社は平均年齢27歳の若い会社であり、仕事のことはもちろん、希望があれば人生の先輩として「いかなる事でも気軽に相談したいと思える監査役」という存在になれれば嬉しいと考えています。これは目標であり、まだまだ道半ばです。

監査役という仕事に初めて就かれた方へのアドバイス

上場審査も経て約4年間、監査役という職責を曲がりなりにも果たせたのは、下記の2点に恵まれたからです。
①監査に対する会社、特に経営陣の理解と姿勢
幸いにも、当社には経営陣から新入社員まで全員が内部監査も含め監査に対する理解、監査に積極的に協力すべきとの土壌がありました。これはひとえに経営陣の監査への理解と姿勢があったからだと考えます。
通常、どこの会社も日常業務を優先したいという思いが普通であり、監査は進みにくいのではと覚悟しておりましたが、当社では取締役から支社の新入社員まで真摯に監査に協力してくれました。よって、就任時にはまず社内における監査への理解状況を把握されることをお勧めします。
②内部監査との連携
手前味噌になりますが、当社は内部監査担当の人材に恵まれました。社内業務はもちろん社内体制・人事面も含めて当社を熟知しており、あらゆる分野に対し「改善」することにとても意欲的な人物であったことが、監査上で大きな助力となりました。社内業務に疎い状況で就任される場合は、内部監査との連携が監査の結果に大きく影響するという認識をしっかり持って臨まれることをお勧めします。

最後に

経験・知見ともに未熟であり、皆様にアドバイスできるものではありませんが、監査役が初めての方は日本監査役協会の情報や資料を基盤にする他、マルコ・ポーロ合同会社主催の「ベンチャー監査役の会」に参加され、他社の監査役との交流を図ることをお勧めします。私も本会において僅かでもお役に立てることが出来れば幸甚です。

以上