IPOへの舵取りはこの人を頼れ
株式会社ブロードエンタープライズ
代表取締役社長 中西 良祐 氏
IPOへの舵取りはこの人を頼れ
株式会社ブロードエンタープライズ
代表取締役社長 中西 良祐 氏
インタビューイ:マルコ・ポーロ推薦人 中西 良祐氏プロフィール |
・1974年 兵庫県生まれ ・甲南大学在学中に飲食店を経営 ・大学卒業後教材販売会社で営業を担当 トップクラスの成績を残し、わずか2年で係長に昇進 ・NTT代理店に転職 トップクラスの成績を1ヶ月目で達成 ・2000年ブロードエンタープライズ設立 ・2021年東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)上場 全戸一括型インターネットサービス「B‐CUBIC」 IoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」を中心に展開 資本金:750,951,000円 事業所:東京、大阪、名古屋、福岡(2022年6月に広島、神戸、横浜を開設予定) 正社員:149名 契約社員・アルバイト:17名(2022年4月現在) 会社ウェブサイト:https://broad-e.co.jp/ 「新規上場企業トップインタビュー ブロードエンタープライズ[4415]東証マザーズ IPO」(マーケットワイド stockvoice YouTube) https://www.youtube.com/watch?v=adxx3AOrypY |
『IPOへの舵取りはこの人を頼れ』
成長企業のCEO中西 良祐 氏がマルコ・ポーロを推す理由
「相手の懐に深く入り込んで根本的な解決を図る。ベンチャー企業にとことん寄り添う。そんなことができるのは黒坂さんだけです。どうかそのままのスタイルで、これからも上場をめざす経営者を支え、関西のベンチャー業界を盛り立てていってください」
2021年12月16日、東証マザーズに新規上場を果たしたブロードエンタープライズ。そのCEO中西良祐氏から黒坂へのエールだ。
本記事では、中西社長と黒坂の出会いから現在に至るまでのストーリーをご紹介したい。
思いがけない出会い
出会いは2018年。
中西社長と黒坂には、当時IPOの準備中だったO社長という共通の知人がいる。
中西社長はそのO社長にさまざまな悩みを相談していた。すると、ある日、O社長からこう言われた。
「顔が広くて、色々やってくれる、もう感謝しかない黒坂さんっていう人がいるから、紹介します」
実はO社長から中西社長との話をちょくちょく聞いていた黒坂の方から、中西社長を紹介してほしいとO社長に頼んでいたのだ。
その頃、黒坂はMUFGに勤務していたが、中西社長がCEOを務めるブロードエンタープライズでは別の信託銀行に証券代行を依頼していた。
「そんなことはお構いなし。黒坂さんは無報酬で、個人として、本当によく面倒をみてくださいました。飲み代を割り勘にするとき、経費で落とせないだろうに・・・と心配になったほどです(笑)」
「自腹でしたね」
こともなげに黒坂は言う。
「最初から契約を狙おうなどという気は毛頭もありませんでした。全然そういうんじゃないんです」
中西社長は2000年に起業した。それからの年月に思いを馳せながら中西社長の話をきくと、人ごととは思えなかった。
「同じ世代ということもあって、中西さんがおっしゃることにはすごく共感しました。時代的にも大変な荒波をかぶって、相当ご苦労なさったんだなあと思いました。それに誠実な方だということがすぐにわかったので、私ができることであれば、少しでもお役に立ちたいと自然に思えたんですね」
幸い中西社長の悩み事を解決するツールを黒坂は持っていた。
こうして、気がつくと「契約関係のない」裸のつき合いが始まっていた。
ブロードエンタープライズとは
ここで、中西社長が率いるブロードエンタープライズをご紹介しよう。
入居したその日から無料で使えるデジタル・サービス
現在は少子化が進み、マンション経営も厳しい局面を迎えている。
そんな時代に、マンション・オーナーにとっても入居者にとっても非常に便利なサービスがある。
マンション向け高速インターネット「B-CUBIC(ビーキュービック)」だ。
初期導入費用ゼロ、最新規格「Wi-Fi6」対応のハイクオリティ。しかも、入居者は負担金ゼロで入居と同時に利用できる。
その利便性が受けて、『全国賃貸住宅新聞』の人気設備ランキングで連続トップに輝いている。
既に全国6,000棟、13万5000世帯以上に導入されているが、現在も売上は好調だ。
とはいえ、同業他社も含め普及率は10%に過ぎず、市場としてはまだまだ開拓の余地があると中西社長は語る。
もう1つの柱が、マンションのオートロックにIoTインターフォン機能を付加する『BRO-LOCK(ブロロック)』Wi-Fi対応モデルだ。
スマホにアプリをインストールすれば、どこからでも訪問者に対応できるため、例えば宅配の再配達問題も解決できる。
この他、パソコンやスマホを通して遠隔で監視できる「スマートカメラ」、内覧のときなどに遠隔で鍵を開け閉めできる「スマートロック」というサービスも提供している。
DXの推進が叫ばれる中、先端技術を活用したIoTデバイスの各種サービスがウリだ。
企業理念の3つの柱
企業理念の柱は3つある。
【CS】私たちは、お客様の笑顔をトコトン追求します。
【ES】私たちは、社員の笑顔をトコトン追求します。
【社会貢献】私たちは、優しさと思いやりを持ち、地域・社会に貢献します。
このうち、社会貢献に関しては、2014年に「宗次賞」を受賞している。
「宗次賞」とは、「ベストベンチャー100」アドバイザーである株式会社壱番屋創業者特別顧問の宗次德二社長の名前を冠した賞で、ベストベンチャー100の中から選ばれる。
審査基準は、社会貢献と地域貢献。
賞金の300万円は「お預かりしたもの」だと社長は考えた。そこで、会社からも別途300万円を拠出し、合わせて600万円寄付した。
「私たちは社会に支えられて生きています。そのことを忘れず、受賞に恥じないように、これからも地道に社会貢献をしていこうと改めて決意しました」
受賞を機に、心から敬愛する宗次社長との親交を得、貴重なお付き合いが続いているという。
現在は、宗次社長に紹介されたフリースクール・フォロへの支援を通して、学校に行けない子どもたちをサポートしている。
その寄付金の拠出方法もユニークだ。
社員に有給休暇をとるよう促しつつ、社員がとった有給休暇1日につき1,000円を会社が負担して、その合計額を寄付するのだ。
有給休暇の取得率が上がれば上がるほど寄附金の額が増え、会社はESと社会貢献を同時に果たすことになる。
社員のウェルビーイングは大切にしている。
一緒に働く社員を「家族」と捉え、社員の幸福をなによりも願っているのだ。
社員やその家族を大切にすることが、顧客へのよりよいサービスにもつながると信じている。
社員本人の医療費をはじめ、その家族の健康診断や予防接種、さらにはペットの医療費まで会社が負担する。
人生にとって健康は重要だ。体調が悪かったら早く治療する。病気にかかる前に予防する。そして、家族ともども健康に幸せに過ごしてほしい。
社員のウェルビーイングがあってこその企業活動だというのが中西社長の信念なのだ。
社員が辞めない会社
ブロードエンタープライズは創業して22年目になるが、創業時のメンバーがまだ数人残っている。15年勤続まで入れると15名に上る。
「“社員を大切にする”って言う経営者は多いんですが、中西さんの会社は、とにかく社員が辞めないんですよ。昔からの社員がずっと働いていらっしゃる。それがすべてを物語っていますよね?」
と、黒坂も太鼓判を押す。
26歳で起業し、なにごとも包み隠さず、カッコつけずにやってきた。
「これこれこういう理由でこういうことをやりたいんだけど」と、なんでも正直にオープンに相談し、報告する。嘘はつかない。失敗したら謝り、約束は守る。
中西社長の信望が厚いのも頷けるところだ。
「中西さんは、決して交友関係が広いわけではないんですが、ご縁のあった社員を長い間本当に大切にして、適材適所で力が発揮できるように配慮されていますね」
黒坂が応援するのはこういう誠実な経営者だけだ。
上場に向けてのパートナーシップとその後
上述のように、当初、中西社長と黒坂は契約ぬきの関係だったが、途中から契約を結んで本格的にパートナーシップを組み、上場への道のりをともに歩んだ。
上場までの道のり
ブロードエンタープライズが上場を果たすにあたって、主にMUFG時代に黒坂が行った支援は以下のようなものである。
・社外役員候補の紹介
・証券審査対応全般のアドバイス
・報酬諮問委員会設置に関する相談
・新株予約権(ストック・オプション)発行に関するサポート
・コーポレート・ガバナンスコードに関する相談
・東証審査から上場までのスケジュール作成
・上場に向けた規定整備のサポ―ト(定款、株式取扱規程など)
・上場後の資金調達に関するアドバイス(発行株式数など)
・上場後の株主総会運営のアドバイス
「黒坂さんには、とにかく親身になって寄り添い、とことんサポートしていただきました」
と中西社長は語る。
どの企業にも独自の特徴やスタイルがある。
そのため、上場へのアプローチも企業によってさまざまだ。
ブロードエンタープライズにはブロードエンタープライズに適した方法論がある。
黒坂はプロフェッショナルとして、その方法論を駆使し、これまでの経験や知見、スキル、人脈を存分に生かして、上場に導いた。
そんな黒坂の目には、ブロードエンタープライズが輝いてみえる。
中西社長らしいやり方で大変なご苦労を乗り越えながらここまでやってこられた。
これからもこれまでと同じように、社長らしいやり方で、ますます発展していっていただきたい。
黒坂は心からそう願っている。
思い出深かったこと
ストックオプションは経営者の価値観を映す鏡だと黒坂は言う。
上場によって花開くストックオプション。上場前にその報酬を誰にどれくらい分配するか、それは極めて重要だ。
ストックオプションの配分をみれば、経営者が何を、そして誰を大切に思っているのか、一目瞭然なのだ。
一般的には、経済的な観点から、一部の活躍してくれそうな人、あるいは外部から雇う優秀な人に配分することが多い。
しかし、中西社長は全社員に分配したいと考えていた。
それは、黒坂しか知り得ない、経営者の素の姿だ。
上場後のサポート
上場は企業にとって大きな節目だ。
その上場を果たして4か月(取材時)、中西社長の目には今どのような景色が映っているのだろうか。
最初の3か月は、正直、実感が湧かなかった。事実はあるのに実感が伴わない、そんな感じだったそうだ。
ところが、ここひと月ほど、急激に上場企業のメリットを感じるようになった。
債権の流動化や資金調達が楽になり、思いがけず旧財閥系の大企業や老舗の上場企業から事業提携の話をもちかけられた。これは、非上場だったらあり得ない話だ。
現在は上場によって社会的信用度が高まり、やりたいことが実現しやすくなったと感じている。
「上場は、いいことづくめです」と、中西社長は断言する。
さらなる発展のために
上場後の企業にとってIRは重要だ。
適切なIRは株主や投資家との間に良好な関係を築き、企業価値を高めることにつながる。
黒坂は、IRに悩む中西社長が適切なアドバイスを受けられるように、3年ほど前に上場したS社のY社長を紹介した。
「私は人見知りなところがあって、人脈が限られているんですが、黒坂さんに相談すれば、ピンポイントで素晴らしい方を紹介していただけます。それで問題ないんですよ」
と中西社長は笑う。
黒坂は現在、監査役に必要な実務的なことが学べる勉強会「ベンチャー監査役の会」を開催しているが、その会にブロードエンタープライズの常勤監査役にも入会してもらっている。
上場企業の常勤監査役として彼に貴重な情報を発信してもらうこともある。
黒坂スタイルでIPOへの伴走を
最後に中西社長が黒坂に期待することを語っていただいた。
黒坂に期待すること
上場を果たして、中西社長が寂しいと感じたことがある。
それは、同じ年に上場した会社の経営者同士であっても、なかなか交わる機会がないことだ。
2021年に関西で上場を果たした企業は15社。そのうちベンチャーは3、4社に留まる。
豊かな人脈をもつ黒坂が要となって、上場企業の経営者が気軽に集い交流できる場を作ってほしいと中西社長は願っている。
上場は圧倒的にいいことづくめだが、ほんのわずかだけ悩みがある。
同じ立場の経営者同士がいいことも悪いことも本音で語り合える―そんな場があったらどんなにいいだろう。
黒坂もベンチャーの上場会社を対象に、セミナーやウェビナーを定期的に開催していく予定だ。
黒坂へのメッセージ
黒坂の何が中西社長に響いたのだろうか。
独立すると聞いたときも別段驚きませんでした。
黒坂さんは、MUFGの競合企業と契約している弊社を無償で支援してくださいました。もともとサラリーマンらしからぬ動きをしている人だったので、「これで実態が伴ったな」と思いました。
困ったときに黒坂さんに連絡すれば、必ず力になってくれる―そんな安心感があります。
人の懐に深く飛び込んで、表面的でなく根本的な解決を図る。とことん寄り添う。そんなことができるのは黒坂さんだけです。
最後に、メッセージを一言。
これからも「黒坂スタイル」を貫き、関西のベンチャー企業に寄り添ってください。
そして、IPOを目指す企業の羅針盤となり、関西の上場会社を増やして、盛り上げていってほしいと願っています。
◆インタビュアー プロフィール
横内美保子
博士(文学)。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。
高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。
パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。